黒シャムしま

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トリスタンとイゾルデ

千年紀のベスト100作品を選ぶというタイトルの本があって、トリスタンとイゾルデがベスト100入りしている。ちゃんと聴いたことがなかったので図書館で借りてみた。ダニエル・バレンボイム指揮、ベルリン・フィル、1994年録音の盤。

重厚でドラマティック。いかにもワーグナー。
でも千年紀?に選出されたのは音楽分野だけではなくて、なんかヤバイ空気を持つワーグナー前後の文化を代表する作品をしてなのだろう。ワーグナーにはめまいを覚える。ただでさえ19世紀末のロマン主義は人を酔わす。以前ロマン主義のホフマンの「くるみわり人形とねずみの王さま」をリスベート・ツヴェルガー挿絵で読んだとき、参ったと思った。『トリスタンとイゾルデ』はその感覚に近い。そもそもツヴェルガーの絵には魔界の入り口がある。アーサー・ラッカムの絵には魔界そのものがあるが、誰でも行けるわけではない。でもツヴェルガーの絵には魔界の入り口がぽっかりと口を開けていて誰でも行けそうなのだ。ロマン主義についてはwikiに「想像力の開放」とあるが開放されすぎて空のかなたまで吹っ飛んでいきそうな気分になる。ロマン主義はかなりドラッギーである。

オペラにはそもそも甘い毒がある。しかも習慣性がある。オペラのストーリーは不倫、人殺し、戦争などのただでさえ濃厚なテーマをバレエ、演劇、そして音楽でさらに際立たせる。個人的にはロールプレイングゲームと同じく、着物道楽と同じく、嵌まりそうで恐ろしい。なぜ嵌まるのが恐ろしいか。それは「次」の陶酔がほしくて時間とお金をとことんつぎ込みそうな気がするからです。そのまま人として崩壊してしまうのではないかという深淵が見えるからです。でもひょっとすると、人は何かに嵌まってその深淵に落ち込みたいのかもしれない。とすると、間違って媚薬を飲んだトリスタンとイゾルデは、気の毒だけれどある意味では人にうらやまれる淵に落ちたと言える。『トリスタンとイゾルデ』はそんな陶酔とあこがれの神話だと思った。

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